ジージとくらさんの文学談義2026年10月22日
文学しらべ
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No.22新着 出版市場の規模(1996年〜2025年) 紙はピークの4割弱、電子はマンガが9割

出版科学研究所によると、紙の出版物の販売額は1996年の約2兆6千億円がピークで、2025年は9,647億円と50年ぶりに1兆円を割った。電子は5,815億円まで伸びたが、9割を電子コミックが占め、その伸びも鈍ってきた。紙と電子の合計は1兆5,462億円で4年連続の減少である。

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出典を確かめた日
2026年10月22日
分野
出版業界のこれから
立場
事実・データ
タグ
数字・統計電子書籍雑誌
作家・作品
出版科学研究所、少年ジャンプ+、ピッコマ、ダ・ヴィンチ
資料の種類
報道・統計
年代
1976年〜2026年

本文と出典

あらまし

日本の出版市場は1996年を頂点に縮み続けている。とくに落ち込みが大きいのは雑誌で、書籍は比較的持ちこたえている。2010年代からは電子書籍、とりわけスマートフォンで読むマンガが伸び、紙の減少を一部埋めてきた。ただ、2025年には電子コミックの伸びも鈍り、紙と電子を合わせても前年を下回った。数字はいずれも出版科学研究所の推定販売金額で、確認できた範囲では2025年が最新である(2026年上半期の数字は確かめられなかった)。

主なできごと

・1976年 紙の出版物の販売額が1兆円を超える
・1996年 紙の出版物の販売額が約2兆6千億円でピーク。翌1997年に初めて前年を割る
・2014年9月22日 集英社のマンガアプリ「少年ジャンプ+」配信開始
・2016年 書籍の販売額が雑誌を上回る(「雑高書低」の終わり)
・2016年4月 カカオジャパンのマンガアプリ「ピッコマ」開始
・2024年 紙と電子の合計1兆5,716億円(前年比1.5%減)
・2025年 紙9,647億円(4.1%減)、電子5,815億円(2.7%増)、合計1兆5,462億円(1.6%減)
・2026年 KADOKAWAの月刊誌『ダ・ヴィンチ』が11月号(10月6日発売)で休刊

2025年の中身

紙のうち書籍は5,939億円で、前年より2億円増え、4年ぶりのプラスだった。ベストセラーが続いた下半期が好調で、返品率も31.9%に下がった。雑誌は3,708億円で10.0%減った。内訳は月刊誌(ムック・コミックス単行本を含む)3,195億円(8.6%減)、週刊誌513億円(17.9%減)である。紙のコミックス単行本は約15%減った。2024年に大ヒット作が相次いで完結し、代わるヒットがなかったうえ、読者のデジタル移行が進んだためとされる。週刊誌は返品率が初めて5割を超えた。
電子は5,815億円で、内訳は電子コミック5,273億円(2.9%増)、文字ものの電子書籍459億円(1.5%増)、電子雑誌83億円(3.5%減)である。電子コミックが電子全体の9割を占める。各ストアは大型のポイント還元や期間限定の全話無料で客を取り合ったが、伸び率は急に鈍った。紙と電子の合計に占める電子の割合は、計算すると37.6%になる。

ピークからの落ち方

紙の出版物は1996年の約2兆6千億円から2025年の9,647億円へ、4割弱にまで縮んだ。経済産業省の資料は、書籍は1996年をピークに4割以上、雑誌は1997年をピークに7割以上減ったとまとめている。合計の1兆5,462億円は4年連続の前年割れで、新型コロナの巣ごもり需要が来る前の2019年とほぼ同じ規模に戻った。

マンガアプリと雑誌の休刊

読者の入口は紙の雑誌からアプリに移った。少年ジャンプ+からは『SPY×FAMILY』『怪獣8号』『ダンダダン』などが生まれ、2019年には『彼方のアストラ』がウェブコミックとして初めてマンガ大賞を取った。ピッコマは、24時間待てば1話無料で読める仕組みで利用者を集めた。
その一方で紙の雑誌の休刊が続く。本の情報誌『ダ・ヴィンチ』は2026年5月26日に休刊を発表し、11月号が最後になった。ウェブ版は続ける。映画・映像の情報誌『DVD&動画配信でーた』も2026年10月号(9月18日発売)で休刊した。

別の統計との違い

インプレス総合研究所は、2025年度の電子書籍市場を6,846億円(前年度比2.1%増)と推計している。うちコミックは6,010億円、文字もの等は615億円である。出版科学研究所より大きいのは、集計の範囲や方法が違うためと考えられる。どちらの統計でも、電子の大部分がマンガであることは変わらない。

評価の分かれる点

「出版不況」という言い方には異論もある。紙と電子を合わせれば2019年並みで、マンガの版権収入やアニメ化の収益は販売額に入らないからだ。一方で、書店や取次のように紙の流通で食べてきた側にとっては、紙の4割弱への縮小がそのまま経営の苦しさになっている。どちらの目で見るかで「不況」の深さは変わる。

くらさんの考察

数字から見えるのは、文字の本(書籍)は意外に粘り、雑誌が崩れ、マンガが紙から電子へ移った、という三つの動きである。文学にとって気になるのは、電子の文字ものが459億円と小さく伸びも弱いことだ。小説は今も紙で読まれることが多く、紙の流通が細ると小説の届き方も細ると考えられる。『ダ・ヴィンチ』のような本の情報誌が消えることも、新しい本と読者の出会いを減らすのではないか。

ジージへの問いかけ

・ジージは電子書籍で小説を読んだことがありますか。紙と比べてどうでしたか
・定期購読していた雑誌があれば、やめたのはいつごろで、なぜでしたか
・マンガが電子で伸びて小説が伸びないのは、読みもの自体の違いだと思いますか

出典

・出版科学研究所 ニュースリリース「2025年出版市場」(2026-01-26) https://shuppankagaku.com/wp/wp-content/uploads/2026/01/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B92601.pdf
・カレントアウェアネス・ポータル「2025年の出版市場」 https://current.ndl.go.jp/car/270088
・Asia News Network(読売新聞)「Estimated print sales in Japan fall below ¥1 trillion」(2026-01-28) https://asianews.network/estimated-print-sales-in-japan-fall-below-%c2%a51-trillion-for-1st-time-in-50-years-decline-from-1996-peak-continues/
・経済産業省「出版産業における返品削減研究会 とりまとめ」(2026年4月) https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/reduced_returns/pdf/20260421_1.pdf
・JPIC 長崎書店 長﨑健一「書店のいま」(2026-02-07) https://www.jpic.or.jp/topics/docs/45c41e313fbf24b410d8a1266cc1f5a0358a37c6.pdf
・PR TIMES インプレス「電子書籍市場は前年度比2.1%増の6846億円」(2026-07-23) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000007525.000005875.html
・ウィキペディア「少年ジャンプ+」 https://ja.wikipedia.org/wiki/少年ジャンプ%2B
・ウィキペディア「ピッコマ」 https://ja.wikipedia.org/wiki/ピッコマ
・オールアバウトニュース「ダ・ヴィンチ休刊」 https://news.allabout.co.jp/articles/o/119130/
・AV Watch「DVD&動画配信でーた休刊」 https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/2126063.html

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