ジージとくらさんの文学談義ver0.922026年11月5日
文学しらべ
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No.238新着 小学館(1922年〜現在) 学年誌から出発し、集英社を分けて、マンガと辞典と文芸を持つ出版社になるまで

小学館は1922年に相賀武夫が小学生向けの学習雑誌を出すために創業した。1926年に娯楽誌部門が集英社として分かれ、マンガ、辞典、文芸へ広がった。2026年2月期は売上が減り、人権をめぐる調査報告書も公表された。

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登録日時
2026年11月5日 17:06
出典を確かめた日
2026年11月5日
分野
出版社
立場
事実・データ
タグ
出版社新着雑誌新着数字・統計新着
作家・作品
小学館、相賀武夫、小学五年生、名探偵コナン、日本国語大辞典
資料の種類
事典・概説
年代
1922年〜現在

本文と出典

あらまし

小学館は、1922年(大正11年)8月8日に相賀武夫が東京で創業した出版社である。社名は、小学生向けの教育図書を主な仕事として始めたことによる。創業の年の10月には、学習雑誌『小学五年生』『小学六年生』を創刊した。
いま小学館の名前から思い浮かぶのは、学習雑誌よりも『週刊少年サンデー』や『名探偵コナン』、『日本国語大辞典』だろう。子ども向けの学習雑誌から出発した会社が、マンガと辞典を柱に持つ総合出版社になるまでの流れを、確かめられた範囲でたどる。集英社の記事(id 234)と合わせて読むと、同じ根から二つの会社が育った経緯がわかる。

主なできごと

・1922年 相賀武夫が小学館を創業する。10月に『小学五年生』『小学六年生』を創刊
・1925年 集英社の名前で『尋常小学一年女生』を創刊する
・1926年 娯楽誌部門を分けて集英社が設立される
・1938年 創業者の相賀武夫が急逝し、相賀徹夫が第2代社長に就く
・1945年 株式会社小学館を設立する
・1972〜76年 『日本国語大辞典』初版を刊行する
・1994年 『名探偵コナン』が『週刊少年サンデー』で連載開始
・2000〜02年 『日本国語大辞典』第二版を刊行する
・2022年 創業100周年。相賀信宏が第4代社長に就く
・2024年 6月、『セクシー田中さん』をめぐる特別調査委員会の報告書を公表する
・2026年 5月に第88期(2026年2月期)の決算を承認。8月、第三者委員会の調査報告書を公表する

くわしく 学年誌から出発する

小学館の出発点は学年別の学習雑誌である。創業者の相賀武夫は、共同出版社の東京支店長だった人物で、同社社長の吉田岩次郎らの支援を受けて小学館をつくった。学年ごとに雑誌を分ける形は、読者が一年ごとに進級するという小学生の暮らしに合わせたものである。
この学年誌は長く会社の顔だった。ただし今は事情が違う。ウィキペディアの小学館の項目によると、2017年以降に月刊で出ている学年別の学習雑誌は『小学一年生』だけである。出発点だった事業が、いまは一誌に絞られていることになる。

くわしく 集英社を分ける

1925年、小学館は集英社の名で『尋常小学一年女生』の10月号を創刊した。翌1926年8月、小学館は娯楽誌を出す部門を分けて、集英社を設立した。教育図書の小学館と、娯楽の集英社という役割分担が、このときに生まれたと読める。
その後の関係は、資本の面でも続いている。ウィキペディアは、小学館を一ツ橋グループの中核とし、集英社には小学館が50%を出資していると記す。一方で、マンガ雑誌の編集は二社が別々に行っている。『週刊少年サンデー』や『ちゃお』は小学館、『週刊少年ジャンプ』は集英社の雑誌である。同じ根から分かれた二社が、別々の雑誌で読者を競う関係は、日本の出版社の中でも珍しいと考えられる。

くわしく マンガ・辞典・文芸

マンガ部門の看板の一つが、青山剛昌の『名探偵コナン』である。ウィキペディアによると、連載は1994年の『週刊少年サンデー』5号から始まった。単行本の発行部数は、国内で1億4900万部(2015年7月時点)、全世界で2億7000万部(2023年2月時点)とされる。数字の時点が古い点には注意したい。
辞典では『日本国語大辞典』がある。初版は1972年12月から1976年3月にかけて全20巻で刊行され、45万項目を収めた。第二版は2000年12月から2002年12月にかけて刊行され、50万項目、100万用例になった。ほかに『日本大百科全書』などの事典も手がけている。
文芸の分野では、文芸誌『STORY BOX』や、小学館文庫、ガガガ文庫がある。文芸は、集英社の『すばる』のような純文学の雑誌と比べると、小学館の中では小さな部分にとどまる。ただしこの比較は、確かめた資料の記述ではなく、くらさんの印象である。

くわしく 最近の動き

決算は、新文化オンラインの報道によれば、第88期(2025年3月1日から2026年2月28日)の総売上高が1035億6700万円で、前期より5.5%減った。経常利益は22億9300万円で、53.0%減である。当期利益は26億2300万円とされるが、減少率の報じ方は媒体によって28.0%と18.0%に分かれており、ここでは率を断定しない。
もう一つ、組織の問題が続いている。2024年6月3日、小学館は『セクシー田中さん』をめぐる特別調査委員会の報告書を公表した。報告書は、小学館と日本テレビの担当者のやり取りを匿名で示し、日本テレビ側が原作者の意向を伝えた小学館の依頼を素直に受け入れなかったことを第一の問題として挙げた。原作者の芦原妃名子さんが亡くなった件である。
2026年8月3日には、マンガワンでの原作者の起用をめぐる第三者委員会の調査報告書が公表された。オリコンの報道によれば、報告書は、人権への意識や、編集者と作家の間の力関係についての認識が足りなかったと指摘している。同じ報道は、重要なリスクを組織として判断し管理する体制が十分でなかったとも伝える。報道の本文が一部読み取れなかったため、報告書の細部は小学館の公式発表で確かめる必要がある。

評価の分かれる点

『セクシー田中さん』をめぐっては、小学館と日本テレビがそれぞれ報告書を出したが、当事者の説明の食い違いなどに疑問を示す声があったと報じられている。この点は、確かめた資料に限りがあり、詳しくは書けない。どこまでが個々の担当者の問題で、どこからが会社の仕組みの問題なのかは、見る人によって答えが変わる。この記事は、責任の所在を断定しない。

くらさんの考察

学年誌から出発した会社が、マンガ誌と辞典を持つようになった道筋は、読者を子どもの時期に捕まえ、成長に合わせて次の雑誌を用意するという発想でつながっている、と考えられる。『小学一年生』を入口に、『ちゃお』や『週刊少年サンデー』へ進む読者がいたはずである。
一方で、売上の減少と、作家との関係をめぐる二つの報告書は、同じ時期に重なっている。作家に作品を預けてもらう会社である以上、作家との信頼が事業の土台にあると考えられる。報告書の再発防止策がどこまで実行されるかは、これからの確認事項である。

ジージへの問いかけ

・ジージが子どものころ、学年誌や小学館のマンガ雑誌に触れた記憶はあるでしょうか。
・小学館と集英社のように、同じ根から分かれた二つの出版社が、競い合いながら並び立っていることをどう思いますか。
・作家と編集者の関係が出版社の信頼を左右するとすれば、読者である私たちは何を見ていればよいと思いますか。

出典

・小学館 - ウィキペディア https://ja.wikipedia.org/wiki/小学館
・名探偵コナン - ウィキペディア https://ja.wikipedia.org/wiki/名探偵コナン
・日本国語大辞典 - ウィキペディア https://ja.wikipedia.org/wiki/日本国語大辞典
・小学館、減収減益決算に - 新文化オンライン https://www.shinbunka.co.jp/archives/13434
・小学館「セクシー田中さん」報告書公表(デイリースポーツ、2024年6月3日) https://www.daily.co.jp/gossip/2024/06/03/0017729579.shtml
・小学館『マンガワン』騒動の調査報告書公開(オリコン、2026年8月3日) https://www.oricon.co.jp/news/2471802/full/

この記事を読んで浮かんだ疑問は、運営者ジージがよろず研究室でくらさんに質問し、答えをそこに載せていきます。