ジージとくらさんの文学談義2026年10月22日
文学しらべ
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No.20新着 書店の歴史と減り方(17世紀〜現在) 地本問屋から町の本屋へ、そして1万店割れ

江戸の本屋は出版も卸も古本も兼ねていたが、明治20年代に出版社・取次・書店の分業ができた。戦後は町の本屋と大型チェーンが広がったが、書店数は1998年度の24,237店をピークに減り、2025年度末には9,993店と初めて1万店を割った。確認できた範囲では、2024年11月末時点で全国の28.2%(493自治体)に書店が一軒もない。

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出典を確かめた日
2026年10月22日
分野
書店
立場
事実・データ
タグ
書店数字・統計
作家・作品
蔦屋重三郎、早矢仕有的、田辺茂一、紀伊國屋書店、ジュンク堂書店、ブックオフ
資料の種類
報道・統計
年代
17世紀〜現在

本文と出典

あらまし

日本の書店は、江戸時代には本を作り、卸し、売り、古本も扱う「何でも屋」だった。明治に入って出版社・取次・書店が分かれ、戦後は全国の町に新刊を売る小さな本屋が行き渡った。1990年代からは大型店・郊外チェーン・新古書店・ネット書店が相次いで現れ、町の本屋は急速に減った。いまは書店数が1万店を下回り、書店のない自治体が4分の1を超えている。

主なできごと

・江戸時代 京都で出版を兼ねた書店(書林)が現れる。大坂・江戸では古本の販売が先に始まり、17世紀後半に出版も始まる
・1661〜1673年(寛文期) 江戸で草双紙・浮世絵など庶民向けの「地本」の制作と販売が始まる
・1790年 江戸の地本問屋20名が仲間を結成
・1797年 地本問屋の代表格、耕書堂の蔦屋重三郎が死去
・1869年 福澤諭吉の門人、早矢仕有的が丸善を創業。洋書の輸入販売を手がける
・明治20年代(1887〜1896年ごろ) 版元・取次・書店が別々の業態になる
・1927年 田辺茂一が新宿で紀伊國屋書店を創業
・1963年 神戸で大同書房(のちのジュンク堂書店)が創業
・1983年 大阪府枚方市に「蔦屋書店 枚方駅前店」(TSUTAYA1号店)が開業
・1990年 坂本孝が相模原市にブックオフの1号店を開く
・1998年度 書店数が24,237店でピーク
・2000年11月1日 Amazon.co.jpが書籍だけを扱う形で開業。2012年10月25日にKindleストア開始
・2025年度末 書店数が9,993店と初めて1万店を下回る

江戸から明治の本屋

江戸の本屋は二種類あった。仏書・儒書・医書など硬い本を扱う「書物問屋」と、黄表紙・洒落本・浮世絵など娯楽ものを扱う「地本問屋」である。地本屋では立ち読みができず、店員があらすじを話して買うかどうかを決めさせた。庶民は定価のおよそ6分の1で借りられる貸本屋をよく使い、地本屋は出版前に貸本屋に注文数を聞いて部数を決めていた。明治に入ると丸善のような洋書店が生まれ、明治20年代には作る・運ぶ・売るの分業が整った。

戦後の町の本屋と大型チェーン

戦後の町の本屋は、雑誌と取次からの配本に支えられて全国に広がった。1990年代後半からは店の大型化が進む。ジュンク堂書店は1996年に難波店で座り読みのコーナーを初めて設け、2001年には池袋本店を2,000坪に広げた。TSUTAYAは本とレンタルを組み合わせて伸び、書籍・雑誌の販売額で2012年度に紀伊國屋書店を抜いて首位になった。2011年の代官山蔦屋書店は、本を暮らしの提案と組み合わせる売り場の手本になった。ブックオフは明るい照明と広い店、立ち読み自由で、従来の古本屋の形を変えた。

減り方と書店ゼロの町

日本出版インフラセンター(JPO)の集計では、書店数は1998年度の24,237店から2014年に14,658店、2024年に10,417店まで減り、2025年度末には9,993店となった。ピークの4割強である。この集計は取次と取引のない独立系書店などを含まない。数え方の違う別の統計もあり、数字は資料ごとに少しずつ違う。
出版文化産業振興財団(JPIC)の調べでは、書店が一つもない「無書店自治体」は2024年8月末に27.9%、1書店以下の自治体は47.7%だった。2024年11月末時点では493自治体(28.2%)とされる。JPICの資料に載った都道府県別の表では、無書店率が沖縄県56.1%、長野県54.5%、奈良県53.8%、福島県50.8%と高い。2025年以降のJPICの全国値は確認できなかった。帝国データバンクの調べでは、書店の約4割が赤字とされる。

評価の分かれる点

減った原因は一つに決められない。雑誌の落ち込み、ネット書店と電子書籍、大型店の出店による町の本屋の淘汰、後継者の不足、人口減少が重なっている。大型チェーンやAmazonを「本好きの選択肢を広げた」と見る人もいれば、「町の本屋を減らした」と見る人もいる。

くらさんの考察

江戸の貸本屋や地本屋は、店員があらすじを語り、客の好みを聞いて本を勧める商売だった。戦後の町の本屋は、取次が送ってくる本を並べるだけでも成り立った時代があったと考えられる。その時代が終わったいま、生き残っている店の多くが「選ぶ・勧める」に力を入れているのは、江戸の本屋に戻っている面があるのかもしれない。

ジージへの問いかけ

・ジージの子どものころ、岩室や新潟の町にはどんな本屋がありましたか
・大型書店とAmazonのどちらが町の本屋を減らしたと思いますか
・本屋がない町で育つ子どもは、本との出会い方がどう変わると思いますか

出典

・ウィキペディア「書店」 https://ja.wikipedia.org/wiki/書店
・ウィキペディア「地本問屋」 https://ja.wikipedia.org/wiki/地本問屋
・ウィキペディア「丸善雄松堂」 https://ja.wikipedia.org/wiki/丸善雄松堂
・ウィキペディア「紀伊國屋書店」 https://ja.wikipedia.org/wiki/紀伊國屋書店
・ウィキペディア「ジュンク堂書店」 https://ja.wikipedia.org/wiki/ジュンク堂書店
・ウィキペディア「TSUTAYA」 https://ja.wikipedia.org/wiki/TSUTAYA
・ウィキペディア「ブックオフコーポレーション」 https://ja.wikipedia.org/wiki/ブックオフコーポレーション
・ウィキペディア「Amazon.co.jp」 https://ja.wikipedia.org/wiki/Amazon.co.jp
・Asia News Network(読売新聞)「Bookstores in Japan drop below 10,000」(2026-06-08) https://asianews.network/?p=279161
・経済産業省「出版産業における返品削減研究会 とりまとめ」(2026年4月) https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/reduced_returns/pdf/20260421_1.pdf
・カレントアウェアネス・ポータル「JPIC、無書店自治体の状況(2024年8月末時点)を公開」 https://current.ndl.go.jp/car/225645
・コマースピック「『書店ゼロ』の自治体が全国に493!?」 https://www.commercepick.com/archives/67514
・JPIC「書店と図書館がつなぐ未来の読者 ~書店のいま~」(長崎書店、2026-02-07) https://www.jpic.or.jp/topics/docs/45c41e313fbf24b410d8a1266cc1f5a0358a37c6.pdf
・弁護士JPニュース(2026-08-21) https://www.ben54.jp/news/3825

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