ジージとくらさんの文学談義2026年10月22日
文学しらべ
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No.21新着 書店を残す取り組み(2022年〜現在) 国の書店活性化プラン、シェア型書店、図書館との連携

経済産業省は2024年3月に書店振興プロジェクトチームを立ち上げ、2025年6月に29項目の「書店活性化プラン」を公表、2026年4月には返品削減研究会のとりまとめを出した。民間では作家・今村翔吾のシェア型書店「ほんまる」(2024年4月)のような新しい形の本屋や、図書館と地元書店の連携が広がっている。

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出典を確かめた日
2026年10月22日
分野
書店
立場
事実・データ
タグ
書店作家数字・統計
作家・作品
今村翔吾、ほんまる、書店活性化プラン、本屋大賞、ブックセラーズ&カンパニー
資料の種類
公的機関の解説
年代
2022年〜現在

本文と出典

あらまし

書店の減少が続くなか、2020年代に入って国と業界が本腰を入れ始めた。国会議員の書店議連、経済産業省のプロジェクトチーム、文部科学省の書店と図書館の対話の場が相次いで動いた。民間でも、棚を貸し出すシェア型書店や、地域の書店どうしの連携が生まれている。ただ、国の施策は補助金や研究会が中心で、書店の数そのものを増やす決め手にはなっていない。

主なできごと

・2022年4月 自民党の「街の本屋さんを元気にして、日本の文化を守る議員連盟」(書店議連)の窓口を日本書店商業組合連合会とJPICが共同で担う
・2023年10月〜2024年3月 文部科学省が書店・図書館関係者の「対話の場」を4回開く
・2024年3月 経済産業省が部局をまたぐ「書店振興プロジェクトチーム」を立ち上げる
・2024年4月27日 作家・今村翔吾のシェア型書店「ほんまる 神保町」が開業
・2024年10月 「書店活性化のための課題(案)」を公表し意見を募集。中小企業庁の「書店経営者向け支援施策活用ガイド」も公表
・2025年1月 「関係者から指摘された書店活性化のための課題」を公表
・2025年6月10日 経済産業省が「書店活性化プラン」を公表。13日の「骨太の方針2025」に「書店活性化プランの推進」が入る
・2025年8月 JPICと日本図書館協会が事務局となる「書店・図書館等による連携協議会」が発足
・2026年4月 経済産業省「出版産業における返品削減研究会」がとりまとめを公表(研究会は3回開催)

書店活性化プランの中身

プランは29項目の支援策を五つの課題に分けている(コマースピックの整理による)。一つ目は読書人口の減少への対応で、販路開拓の補助金や書店のリノベーション支援など。二つ目は図書館・自治体との連携。三つ目は返品と再販の課題で、業界横断の研究会や時限再販・部分再販の弾力運用。四つ目はICタグ(RFID)による在庫管理などの省力化、五つ目は新規開店とキャッシュレス決済の手数料である。
その後の返品削減研究会のとりまとめでは、RFIDの効果が数字で示された。全国19書店の実証で、棚卸しの手間が平均92.8%減り、盗難被害が平均78%減った。RFID機器は中小企業省力化投資補助金の対象になり、2026年3月末から書店が申請できるようになった。キャッシュレス決済の手数料は1%台後半〜2%台半ばの提示が出てきたが、小さな書店には重いという声があり、実態を調べるとしている。

民間の新しい本屋

「ほんまる 神保町」は、1階と地下1階に364の棚を設け、個人や企業に月4,850円(税込み)から貸す。棚主は好きな本を選んで売り、新刊は定価、古本は自由に値をつける。今村は、棚主の7〜8割は本の売上だけでは赤字になると見ており、棚代と店に人が集まること自体が店を支える形である。
書店どうしが手を組む動きもある。大垣書店を中心とする大田丸は、12書店128店舗の販売と在庫のデータを集めて出版社に毎日公開し、確実に仕入れて売り切る仕組みを作っている。熊本県書店商業組合は、30%(2024年度)・20%(2025年度)上乗せのプレミアム付き図書券を出した。

図書館との関係

図書館が人気の本を何冊も買うと書店の売上を奪う、という批判は昔からある。文部科学省の対話の場のまとめ(2024年3月)は、ベストセラーの複本は平均1.46冊で、全体としての影響は大きくないが一部のベストセラーでは小さくない、という研究を紹介している。図書館が地元の書店から本を買い、ラベル貼りなどの装備まで頼む長野県の「諏訪モデル」のように、図書館を書店の大口の客として位置づけ直す試みも出ている。

書店員の仕事

書店員は、届いた本を並べるだけでなく、何を仕入れ、どこにどう並べ、誰に勧めるかを決める。本屋大賞は、新刊書店で働く書店員が自分で読んで売りたい本に投票する賞で、「売り場からベストセラーをつくる」ことを掲げる。一人ひとりに合わせて本を選んで送る「選書」のサービスも各地の書店が手がけている。返品できる委託から買い切りに近い取引へ移るほど、この目利きの力が店の利益を左右するようになる。

評価の分かれる点

国が書店を支援することには、「文化の拠点を守るために必要」という声と、「特定の小売業だけを税金で助けるのは筋が違う」という声がある。シェア型書店も、本屋を増やす新しい形と見る人と、本を売る商売としては成り立っていないと見る人がいる。

くらさんの考察

国の施策を見ると、補助金でRFIDやレジを入れる効率化と、返品を減らす流通改革が中心である。どちらも書店の利益を少し厚くするが、店に来る人を増やす策ではない。人を呼んでいるのは、ほんまるのような「本を介して人が集まる場所」や、選書のような「この人に選んでほしい」という関係のほうだと考えられる。書店を残す鍵は、物流の効率よりも、本を勧める人がいることにあるのではないか。

ジージへの問いかけ

・ジージが棚を一つ借りられるとしたら、どんな本を並べたいですか
・本屋を残すために税金を使うことに賛成ですか、反対ですか
・図書館で借りるのと本屋で買うのとでは、本の読み方が変わると思いますか

出典

・経済産業省「出版産業における返品削減研究会 とりまとめ」(2026年4月) https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/reduced_returns/pdf/20260421_1.pdf
・ミラサポplus「書店活性化プランを公表しました」 https://mirasapo-plus.go.jp/infomation/29079/
・コマースピック「『書店ゼロ』の自治体が全国に493!? 消えゆく本屋を救う経産省の政策とは」(2025-06-18) https://www.commercepick.com/archives/67514
JPIC 嶋田学「最新動向全国的な書店・図書館をめぐる動きや世界の状況」(2026-01-23) https://www.jpic.or.jp/topics/docs/cbbe85f339550b4ba0cf96c8feb892ad06ff3ad3.pdf
・JPIC 長野県書店商業組合 笠原新太郎「長野県の書店のいま」(2026-01-23) https://www.jpic.or.jp/topics/docs/8795b57cd464ee30840c199658b3e7969f8bb4e4.pdf
・JPIC 長崎書店 長﨑健一「書店のいま」(2026-02-07) https://www.jpic.or.jp/topics/docs/45c41e313fbf24b410d8a1266cc1f5a0358a37c6.pdf
・タイムアウト東京「ほんまる 神保町」(2024-06-13) https://www.timeout.jp/tokyo/ja/news/honmaru-jinbocho-061324
・日経BOOKプラス「書店再興」第4回 https://bookplus.nikkei.com/atcl/column/031900675/031900004/
・本屋大賞「本屋大賞とは」 https://www.hontai.or.jp/about/

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