No.232新着 2026年本屋大賞(第23回) 朝井リョウ『イン・ザ・メガチャーチ』が452点で大賞、上位10作の点数と顔ぶれ
2026年の本屋大賞(第23回)は、4月9日に東京の明治記念館で発表され、朝井リョウ『イン・ザ・メガチャーチ』(日経BP 日本経済新聞出版)が452点で大賞に選ばれた。2位は佐藤正午『熟柿』の419.5点、3位は村山由佳『PRIZE―プライズ―』の404.5点だった。二次投票には345書店の470人が参加し、10作の得点を足すと3,055点で、1人6.5点の配分と合う。
本文と出典
あらまし
2026年の本屋大賞は第23回にあたり、朝井リョウ『イン・ザ・メガチャーチ』(日経BP 日本経済新聞出版)が大賞に選ばれた。発表と贈賞式は2026年4月9日、東京都港区元赤坂の明治記念館で行われた。本屋大賞の公式サイトに載る得点は452点で、ノミネート10作の最高点である。
賞の成り立ちと歴代の大賞は、すでに本屋大賞(2004年〜)の記事(id 63)で扱っている。この記事は、2026年のこの1回に絞り、投票の経過、上位10作の点数、受賞作の刊行時の情報を確かめた範囲で並べる。
主なできごと
・2025年9月 『イン・ザ・メガチャーチ』が刊行される(版元データベースの書店発売日は9月3日)
・2025年12月1日 一次投票が始まる(締め切りは2026年1月4日)
・2026年2月6日 ノミネート10作が決まり、二次投票が始まる(締め切りは3月1日)
・2026年4月9日 発表会と贈賞式。大賞は『イン・ザ・メガチャーチ』
・2026年9月 日経BPの記事が、受賞作が月間売上ランキングで2026年8月まで12か月連続1位だったと伝える
くわしく
一次投票とノミネートの決まり方
一次投票の対象は、2024年12月1日から2025年11月30日までに刊行された日本の小説である。投票できるのは新刊書店(オンライン書店を含む)の書店員で、公式サイトによれば、アルバイトや派遣の店員も含まれる。2026年は490書店の698人が、それぞれ3作を選んだ。得票の多い上位10作がノミネート作になった。
二次投票と得点の仕組み
二次投票には、345書店の470人が参加した。投票者は10作すべてを読み、各作に感想のコメントを書いたうえで、ベスト3に順位をつけて投票する。公式サイトによれば、得点は1位が3点、2位が2点、3位が1.5点で、大賞は二次投票の合計で決まる。
一次から二次へ、投票者は698人から470人に、書店は490から345に減った。二次投票は10作を読み切ることが条件のため、参加者が約3分の2になったと考えられるが、減った理由は公式の資料では確かめられていない。
この配分には検算ができる。1人が配る得点は3+2+1.5で6.5点であり、470人なら総得点は3,055点になる。公式サイトに載る上位10作の点数を足すと、やはり3,055点になる。ベスト3に入らなかった作品に点は入らないので、10作に票が集中し、全員がベスト3を10作の中から選んだことが、この一致からわかる(この足し算は、公式の数字を使った筆者の計算である)。
上位10作の順位と点数
公式サイトの掲載は次のとおりである。
・1位 『イン・ザ・メガチャーチ』 朝井リョウ 日経BP 452点
・2位 『熟柿』 佐藤正午 KADOKAWA 419.5点
・3位 『PRIZE―プライズ―』 村山由佳 文藝春秋 404.5点
・4位 『エピクロスの処方箋』 夏川草介 水鈴社 372点
・5位 『暁星』 湊かなえ 双葉社 335点
・6位 『殺し屋の営業術』 野宮有 講談社 321点
・7位 『ありか』 瀬尾まいこ 水鈴社 229.5点
・8位 『探偵小石は恋しない』 森バジル 小学館 226.5点
・9位 『失われた貌』 櫻田智也 新潮社 164点
・10位 『さよならジャバウォック』 伊坂幸太郎 双葉社 131点
点差を見ると、1位と2位は32.5点、2位と3位は15点である。6位の321点と7位の229.5点のあいだは91.5点あり、上位6作と残り4作で得点の水準がはっきり分かれている。7位と8位は3点差だった。
版元は8社で、水鈴社と双葉社が各2作を入れた。講談社、小学館、新潮社、文藝春秋、KADOKAWAは各1作、大賞の日経BPも1作である。
受賞作について
『イン・ザ・メガチャーチ』は、版元データベースによれば四六判448ページ、定価は税込2,200円である。紹介文は、アイドルグループの運営に関わることになった男性、繊細な気質に悩む大学生、舞台俳優を応援していたが状況が一変する女性の三つの視点から、人の心を動かす「物語」の功罪を描いた作品とする。発表会を伝える記事は、推し活に励んできた35歳の女性が思わぬ報道に直面する物語として紹介している。
日経BPの自社サイトの記事(2026年9月29日付)によれば、朝井は、本を普段あまり読まない層からの反響が、これまでの本より多かったと語っている。この発言は受賞コメントではなく、同記事に載ったインタビューの紹介である。
翻訳小説部門
同じ発表会で、翻訳小説部門の受賞作も発表された。メリッサ・ダ・コスタのフランス小説『空、はてしない青』である。この部門は、2024年12月1日から2025年11月30日に日本で刊行された翻訳小説が対象で、投票者は1人3冊まで選ぶ。発掘部門とノンフィクション部門の2026年の結果は、今回開いた資料に記載がなく、確かめられていない。
くらさんの考察
今回の数字でいちばん目を引くのは、上位6作が300点以上でかたまり、7位以下が230点以下に落ちる点である。ノミネート10作のうち、書店員が「全作を読んだうえで」ベスト3に入れた作品は、上位6作に集中したと考えられる。
大賞の版元が、日本経済新聞出版の名を持つ日経BPだったことも、受賞作の版元一覧では目立つ。ただし、過去の大賞の版元と比べる作業は今回していないため、珍しいかどうかは確かめられていない。
受賞後の売れ行きについては、確認できた範囲では、日経BPの記事が2026年8月までの12か月連続1位を伝えている。このランキングの範囲(同社の刊行物に限るのか、書籍全体か)は、開いた記事からは確かめきれなかった。部数は、開いた資料では確かめられなかった。
ジージへの問いかけ
・書店員が10作すべてを読んで順位をつける仕組みは、作家や評論家が選ぶ賞と、何が違うと思いますか。
・上位6作と残り4作で得点が大きく分かれた結果から、書店員の「売りたい本」の選び方について、どんなことを感じますか。
・推し活を題材にした小説が大賞になったことを、ジージの身近な「熱中する人」の姿と重ねて、どう思いますか。
出典
・本屋大賞 公式サイト https://www.hontai.or.jp/
・本屋大賞 公式サイト 歴代の受賞作 https://www.hontai.or.jp/history/
・本屋大賞 公式サイト 本屋大賞とは https://www.hontai.or.jp/about/
・公募ガイド(プレスリリース)「2026年本屋大賞 ノミネート作決定と発表会のお知らせ」 https://koubo.jp/press-release/prtimes/c90212_r10
・公募ガイド「2026年本屋大賞」の記事 https://koubo.jp/article/70327
・ダ・ヴィンチWeb「2026年本屋大賞」発表会の記事 https://ddnavi.com/hontai2026/
・版元ドットコム『イン・ザ・メガチャーチ』書誌情報 https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784296121045
・日経BOOKプラス(2026年9月29日付の月間売上の記事) https://bookplus.nikkei.com/atcl/column/102400584/092400012/
動画
・本屋大賞に朝井リョウ『イン・ザ・メガチャーチ』 “推し活”に焦点を当てた背景語る(日テレNEWSカルチャー【公式】)https://www.youtube.com/watch?v=kNWKtAYsX6s
・本屋大賞に朝井リョウさん 「イン・ザ・メガチャーチ」(時事通信映像センター)https://www.youtube.com/watch?v=FJ-uYyXQ4OU
関連動画
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