ジージとくらさんの文学談義2026年10月22日
文学しらべ
問いを重ねて、日本文学を読む

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No.16新着 そのほかの文学賞 純文学の賞・娯楽小説の賞・文芸誌の新人賞の見取り図

日本の文学賞は、新人の入口となる文芸誌の新人賞、芥川賞・直木賞、さらに実績ある作家に贈る谷崎賞・野間文芸賞などと段になっている。多くは出版社が主催し、純文学系と娯楽系で系統が分かれる。この記事では主な賞の創設年・主催・最近の受賞者を並べる。

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出典を確かめた日
2026年10月22日
分野
文学賞
立場
くらさんの考察
タグ
文学賞雑誌出版社ミステリー・娯楽作家
作家・作品
谷崎潤一郎賞、野間文芸賞、三島由紀夫賞、山本周五郎賞、川端康成文学賞、江戸川乱歩賞
資料の種類
事典・概説
年代
1941年〜現在

本文と出典

あらまし

芥川賞・直木賞のほかにも、日本には多くの文学賞がある。大きく分けると、①文芸誌が公募する新人賞、②三島由紀夫賞・山本周五郎賞のような若手〜中堅向けの賞、③谷崎潤一郎賞・野間文芸賞のような実績のある作家への賞、の段がある。主催はほとんどが出版社かその財団で、受賞作は主催社の雑誌に載り本になる。

主なできごと

・1941年 野間文芸賞創設(講談社初代社長野間清治の遺志。戦後中断し1953年再開)
・1949年 読売新聞社が読売文学賞を創設
・1954年 江戸川乱歩の寄付で江戸川乱歩賞創設(第3回から長編の公募)
・1955年 文學界新人賞創設。第1回は石原慎太郎「太陽の季節」
・1958年 群像新人文学賞創設
・1962年 文藝賞創設
・1965年 中央公論社が谷崎潤一郎賞を創設
・1969年 新潮新人賞の第1回(1968年に新潮文学新人賞として創設)
・1974年 川端康成文学賞の第1回(川端のノーベル賞賞金が基金)
・1977年 すばる文学賞創設
・1988年 新潮文芸振興会の三島由紀夫賞・山本周五郎賞の選考開始

純文学系の賞

谷崎潤一郎賞は「時代を代表する優れた小説・戯曲」に年1回贈る。大江健三郎『万延元年のフットボール』(1967年)、村上春樹『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(1985年)が受けた。最近は第60回(2024年)柴崎友香『続きと始まり』、第61回(2025年)木村紅美『熊はどこにいるの』。野間文芸賞は講談社と野間文化財団の賞で小説と評論が対象。第77回(2024年)中村文則『列』、第78回(2025年)村田沙耶香『世界99』。三島由紀夫賞は「文学の将来を切り開く」新人の作品1篇に贈り、第38回(2025年)中西智佐乃「橘の家」、第39回(2026年)豊永浩平『はくしむるち』。川端康成文学賞は短編小説の賞で、財政難などで2019年に休止し2021年に再開した。第50回(2026年)は古川真人「近づくと遠ざかる船」。読売文学賞は小説・戯曲・評論・詩歌俳句など6部門を持ち、確認できた範囲では第77回の小説賞は柴崎友香『帰れない探偵』である。

娯楽小説系の賞

山本周五郎賞は「すぐれた物語性を有する小説」が対象で、直木賞に近い性格を持つ。第38回(2025年)新川帆立『女の国会』、第39回(2026年)蝉谷めぐ実『見えるか保己一』。江戸川乱歩賞はミステリーの公募新人賞で、西村京太郎(1965年)、東野圭吾『放課後』(1985年)、桐野夏生(1993年)を世に出した。第71回(2025年)野宮有『殺し屋の営業術』、第72回(2026年)箕輪尊文『弾丸とヒマワリ』。副賞は第68回から500万円に減った。

文芸誌の新人賞(純文学の入口)

五大文芸誌はそれぞれ新人賞を持つ。群像新人文学賞(講談社)は村上龍(1976年度)、村上春樹(1979年度)、多和田葉子(1991年度)を出した。文學界新人賞(文藝春秋)からは吉田修一、絲山秋子、円城塔、市川沙央が出た。文藝賞(河出書房新社)は田中康夫、山田詠美、綿矢りさ、宇佐見りんを出し、2000年ごろから中高生の受賞が目立つ。新潮新人賞(新潮社)は田中慎弥(2005年)、小山田浩子(2010年)など。すばる文学賞(集英社)は金原ひとみ、高瀬隼子らを出し、第50回(2026年)は応募1803篇だった。ここでデビューした作家が数年後に芥川賞の候補になる流れが多い。

評価の分かれる点

主催社の雑誌に載った作品が、主催社の賞を受けやすいのではないかという見方は昔からある。一方、出版社が身銭を切って賞を続けているからこそ新人が世に出られる、という反論もある。どちらとも言い切れない。

くらさんの考察

見取り図にすると、純文学は「文芸誌新人賞→芥川賞・三島賞→谷崎賞・野間文芸賞」、娯楽小説は「乱歩賞などの公募賞→山本周五郎賞→直木賞」という階段になっていると考えられる。ただ、蝉谷めぐ実のように直木賞候補と山本賞受賞が同じ年に重なる例もあり、階段は一本道ではない。出版社ごとに賞を持つのは、自社の雑誌に新人を囲い込み、育てて本を出すという日本の出版の作りと結びついているのだろう。

ジージへの問いかけ

・芥川賞・直木賞以外で、名前を知っていた賞はありますか
・出版社が自社の作家に賞を出す仕組みは、公平だと思いますか
・新人賞からデビューする道と、ネットや本屋大賞で知られる道、どちらが作家を育てると思いますか

出典

・ウィキペディア「谷崎潤一郎賞」 https://ja.wikipedia.org/wiki/谷崎潤一郎賞
・ウィキペディア「野間文芸賞」 https://ja.wikipedia.org/wiki/野間文芸賞
・ウィキペディア「三島由紀夫賞」 https://ja.wikipedia.org/wiki/三島由紀夫賞
・ウィキペディア「山本周五郎賞」 https://ja.wikipedia.org/wiki/山本周五郎賞
・ウィキペディア「川端康成文学賞」 https://ja.wikipedia.org/wiki/川端康成文学賞
・ウィキペディア「読売文学賞」 https://ja.wikipedia.org/wiki/読売文学賞
・ウィキペディア「江戸川乱歩賞」 https://ja.wikipedia.org/wiki/江戸川乱歩賞
・ウィキペディア「群像新人文学賞」 https://ja.wikipedia.org/wiki/群像新人文学賞
・ウィキペディア「文學界新人賞」 https://ja.wikipedia.org/wiki/文學界新人賞
・ウィキペディア「文藝賞」 https://ja.wikipedia.org/wiki/文藝賞
・ウィキペディア「新潮新人賞」 https://ja.wikipedia.org/wiki/新潮新人賞
・ウィキペディア「すばる文学賞」 https://ja.wikipedia.org/wiki/すばる文学賞
・日本文学振興会「直木三十五賞」(第175回候補) https://bungakushinko.or.jp/award/naoki/

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