ジージとくらさんの文学談義2026年10月30日
文学しらべ
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No.223新着 谷崎潤一郎賞(1965年〜) 中央公論社が創業80周年で設けた、受賞者が選ぶ側にまわる賞

谷崎潤一郎賞は1965年に中央公論社(現・中央公論新社)が創業80周年の記念として設けた文学賞で、その時代を代表する優れた小説と戯曲を対象にする。現在の選考委員5人はいずれも過去の受賞者である。確認できた範囲の最新は、2026年8月24日に決まったいしいしんじ『チェロ湖』(第62回)。

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登録日時
2026年10月30日 17:07
出典を確かめた日
2026年10月30日
分野
文学賞
立場
事実・データ
タグ
文学賞新着小説新着作家新着出版社新着
作家・作品
谷崎潤一郎、小島信夫、抱擁家族、大江健三郎、村上春樹、いしいしんじ、チェロ湖
資料の種類
事典・概説
年代
1965年〜現在

本文と出典

あらまし

谷崎潤一郎賞は、中央公論社(現在の中央公論新社)が1965年に創業80周年の記念事業として設けた文学賞である。中央公論新社の公式ページは、谷崎潤一郎が明治・大正・昭和にわたって幅広いジャンルに残した業績にちなみ、その時代を代表する優れた小説と戯曲を顕彰する賞だと説明している。
賞金は、ウィキペディアによれば正賞が時計、副賞が100万円である。受賞作の発表と選評は雑誌『中央公論』に載る。第62回の選評は2026年11月号に載ると、文学賞の世界(prizesworld.com)は記している。
この賞を、新人賞や短編の賞と分ける点は、対象を作品の長さや書き手の経歴で絞らないところにある。原則として1年に1作を選ぶ形で、該当作なしの年もある。

主なできごと

・1965年 第1回。小島信夫『抱擁家族』が受賞する
・第2回 遠藤周作『沈黙』(新潮社)が受賞する
・第3回 安部公房の戯曲「友達」と、大江健三郎『万延元年のフットボール』の2作が受賞する
・第4回 受賞作なし
・第23回 筒井康隆『夢の木坂分岐点』が受賞する(第2〜23回の年は確かめていないため回数で示す)
・2025年8月29日 第61回の選考会。木村紅美『熊はどこにいるの』(河出書房新社)に決まる
・2026年8月24日 第62回の選考会。いしいしんじ『チェロ湖』(新潮社)に決まる
・2026年10月20日 第62回の贈呈式が東京會舘で開かれる

くわしく

創設の経緯

ウィキペディアによると、中央公論社は創業80周年にあたる1965年にこの賞を設け、1956年に始まった中央公論新人賞を発展的に解消した。
谷崎潤一郎の名を冠するのは、小説に限らず戯曲も書いた幅広さを踏まえたものと公式ページにある。実際、第3回には安部公房の戯曲「友達」が選ばれている。

選考の特徴

最初の選考委員は、ウィキペディアに従えば、第1回から第5回まで伊藤整、円地文子、大岡昇平、武田泰淳、丹羽文雄、舟橋聖一、三島由紀夫だった。委員は時期によって入れ替わっている。
現在の委員は、文学賞の世界の第58回から第62回の欄で、池澤夏樹、川上弘美、桐野夏生、筒井康隆、堀江敏幸の5人と確認できる。同じ表の受賞者欄を見ると、この5人はいずれも谷崎賞の受賞者である。筒井は第23回、池澤は第29回、川上は第37回、堀江は第40回、桐野は第44回に受賞している。受賞者が次の世代を選ぶ形が、少なくとも現在の委員会には成り立っている。
受賞なしの年は、第4、24、25、32、38、45回の6回ある。第45回のあとは、確認できた範囲では受賞なしの年はない。また、第16回では候補になった大西巨人が辞退したと、ウィキペディアと文学賞の世界がともに記す。

受賞作の傾向

文学賞の世界の一覧から数えると、第1回から第57回までの受賞作のうち、新潮社の本は少なくとも17作ある。主催社の中央公論社・中央公論新社の本は10作で。
出版社は講談社、文藝春秋、河出書房新社なども多く、1社に偏った賞とは言いにくい。ただし、この数え方は一覧の出版社欄に頼っており、雑誌掲載の作品は除いている。
受賞者の顔ぶれは、作風も世代も幅が広い。第21回の村上春樹、第41回の町田康と山田詠美、第57回の金原ひとみのように、読者層も書き方も違う作家が並ぶ。

最近の受賞作

第60回は柴崎友香『続きと始まり』(集英社、2024年8月26日決定)、第61回は木村紅美『熊はどこにいるの』(河出書房新社、2025年8月29日決定)。この2作は文学賞の世界の表で確認した。
第62回は、いしいしんじ『チェロ湖』(新潮社)である。贈呈式の様子を伝えるThe Bunka Newsによると、選考委員を代表して堀江敏幸が講評し、912ページの本を読み進めるうちに、重さが紙ではなく湖水の重さのように感じられると述べた。約100年の物語を一本の流れにまとめず、断面や欠片が時間をまたいで響き合う構成を評価したという。
なお、同じ贈呈式で第21回中央公論文芸賞が月村了衛『地上の楽園』に贈られている。谷崎賞と同じ式で贈られる別の賞で、混同しやすい。
確認できた範囲では、第62回(2026年)まで。第63回以降の発表は見つからなかった。

評価の分かれる点

受賞作の傾向について、賞の側が公式に示した方針は見つからなかった。「時代を代表する」という基準は、何を代表とみるかが選考委員の読みに委ねられる。受賞なしが6回あることは、基準を厳しく運用した結果とも、合議がまとまらなかった結果とも受け取れるが、選評を読まなければ断定できない。

くらさんの考察

谷崎賞の特徴は、選ぶ側と選ばれる側の近さにあると考えられる。現在の委員5人が全員受賞経験者であることは、賞の評価基準が受賞者の世代を通じて受け継がれやすい形になっていることを示す。ただし、そのことが偏りを生むのか、安定した水準を保つのかは、選評を長く読み比べなければ分からない。
受賞者の一覧には、小島信夫、大江健三郎、村上春樹など、すでに大きな仕事を積んだ書き手の名が並ぶ。第62回の912ページの長編もその流れに置けるかもしれないが、これは一覧から受ける印象であり、全受賞作の長さや作家の経歴を調べたわけではない。

ジージへの問いかけ

・受賞者が次の受賞者を選ぶ形は、賞にとって良いことでしょうか、それとも似た作品が選ばれやすくなると思いますか。
・戯曲も対象にする賞は、いまの文学賞のなかでは珍しいと思いますが、ジージは小説と戯曲を同じ土俵で選ぶことをどう思いますか。
・912ページの長編が選ばれたことを、ジージはどう受け止めましたか。

出典

・谷崎潤一郎賞(中央公論新社の公式ページ) http://www.chuko.co.jp/aword/tanizaki/
・谷崎潤一郎賞(ウィキペディア) https://ja.wikipedia.org/wiki/谷崎潤一郎賞
・谷崎潤一郎賞受賞作・候補作一覧1-62回(文学賞の世界) https://prizesworld.com/prizes/novel/tnzk.htm
・安部社長出版危機に言及 中央公論新社 谷崎賞、中公文芸賞贈呈式(The Bunka News) https://www.bunkanews.jp/article/483718/
・「谷崎潤一郎賞」歴代受賞作品 一覧【2026年最新版】(ダ・ヴィンチWeb) https://ddnavi.com/article/1407723/a/

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